この本を読んだことがない方は、「仮にあなたが明日交通事故に遭って手足が一生不自由になった。その状況下での自分の性の欲求、パートナーと触れ合いたいという極々自然で今まで当たり前だった欲求がかなえられなくなる。」そんなことをまずは想像してみたらよいと思う。
現実の世界ではこの状況は誰にでも起こり得る。確率からいったら少ないだろうが。
そのようなことを真剣に考えさせられるこの本のテーマは良いし、著者の自分の足で得た個々の取材、日本国内だけでなくオランダにまで取材に行ったその心意気、その記録自体はたいへん価値のあることと思う。
しかし著者自身が迷い悩みながら自分なりの結論や意見を持たないまま話が進んでいくため、読んでいる方も不安だ。「一線を越えられない」筆者を擁護(正当化しようと)する「あとがき」にも冷めた。
本の出だしの酸素ボンベを外して風俗のとか、それはそれでインパクトのある話だが、筆者の煮え切らない主観が入るくらいなら、それならば数々の取材をまとめてケーススタディの本にした方がよかったのではと思えてくる。せめて現状に対する事実としての問題点は提示すべきであった。